失敗から学ぶ優れた経営者、大原孝治
ドンキホーテホールディングス社長兼CEO、大原孝治の決断は早く、そして損をしない選択を為し得ました。
全国に500店舗に迫る勢いのドン・キホーテグループにおいて、ドン・キホーテ神田神保町靖国通り店を開店早々に閉店したのは英断です。大原孝治はこの閉店について間違いない選択をしたのです。神田神保町はオフィス街で、ラフな雰囲気かつ休日や深夜帯に利用ニーズの多いドン・キホーテの客層には向いていません。大原孝治はその事実を迅速に見抜き、早々と店舗の撤退を決めたのです。事業展開においては登山と同じく、突き進む勇気以上に引き返す勇気が必要です。失敗を恐れない積極展開でもノーダメージなのは大原社長が所有不動産に建てた店舗なので、財政的に何ら損はありませんでした。事業はまずチャレンジしてみる勇気が必要ですが、それを地で行く逸話だと言えます。さらに大原社長は、道路沿い、たった100メートルの距離が店舗の発展を決めることを見抜きました。実はドン・キホーテは過去に新橋店を出店して撤退を決めたこともありました。それだけ、オフィス街での店舗営業は厳しい現実を伴っていたのです。
その経験を元に、大原孝治は神田神保町靖国通り店の閉店を決断できたのです。彼自身は失敗だったと語る撤退がドン・キホーテの特色をより明らかにしました。ドン・キホーテは疲れて歩くサラリーマンやOLが立ち寄るのではない、もっと気軽な雰囲気の業態ということが明らかになりました。失敗から学ぶことができる能力は並大抵の経営者にはありません。今や大企業として小売業界に君臨するだけの実力は優れた資質を持つ者だけが持つ能力です。